まったり薬剤師道中
薬剤師にジョブチェンジ。今更知った薬の知識をぶつぶつ公開
けつあつに願いをpart2
…………
把握!!
それではいよいよ高血圧薬のご紹介ー。
いろいろ種類はあるけど、前項で書いた体液量つながりの薬を順次紹介。
まず理解しておきたいのは、
私たちの体は水を排出するよりも貯め込んでおくための機能がたくさんあると言うこと。
そのために体の中ではたくさんの物質が主に尿を作り出す腎臓に作用して、体の水分量を調節している。
そのおかげで、人はちょっとの水を飲むだけで、干涸らびることなく生きられるらしい。
腎臓の機能を簡単に紹介しておくと、
まず体を巡る血管の一部が腎臓を経由
↓
血管を流れる不純物や栄養素なんかを含んだ水だけがそこで濾過される
↓
不純物はそのまま排泄。必要な栄養素はここで再び体の中に回収される。
↓
栄養素と一緒に一度濾過されたほとんどの水ももう一度体に取り込まれる。
というわけで、最初に濾過された尿(原尿)のうち実に99%の水分が、いらない物だけを捨てた状態でもう一度体の中に戻ってくるとかなんとか。
そこで、腎臓がどれだけ働いてんのかなーと計算してみると、
大人の人が一日に1.5リットルの尿を排泄しているとすると、その前に腎臓は180リットルもの原尿を作りだし、178.5リットルの水や栄養物を再び体の中に戻しているということになる。
うん。こりゃあ腎不全になったら透析するしかないわな。これだけの仕事ができる、これだけ小さな臓器を作るのは現代の科学じゃまだ難しいだろう。
で、この水分の取り込みに関与している物質というのが、さっき出てきた「レニン」というもの。
そして他にも水の再吸収に関与している物は「バソプレシン」と「アルドステロン」などと言う物がある。
名前憶えるのがめんどくさいので、
レニン→レニー坊
バソプレシン→馬孫
アルドステロン→アル中
などと勝手に名付けることにして進行。
つまりこいつらの働きを止めてやれば、
水を再び取り込まれることが無くなる=尿の量が増える=体液量が減るってことらしい。
でも馬孫や アル中は名前のインパクトからしてなんか手に負えなさそう。
こいつらは体の働きに大きく関わってくるホルモンとかいうちょっとおいしそうな名前の物質なので、その状態を崩すにはとても大きなリスクが伴ってきます。
特に馬孫さんは無理。所在地は脳という超根幹だし、水の再吸収のほとんどを担っていらっしゃるので、当然止まり方も豪快です。おそらく作られた尿のほとんどが再吸収されることなくダバダバ垂れ流されてしまうことでしょう。
なのでこの中で一番簡単で安全で確実なのはレニー坊を沈黙させること。
レニーはいわゆる司令塔。腎臓を流れる血液の量が少なくなったり、血圧が下がったりすると体に現れ、
アンギオテンシンという血圧を上げる物質を作ってくれちゃいます。
腎臓村に住むレニーは多感なお年頃で、周りが静かになるとそわそわして家から出て、隣に住んでるヒッキーのお兄ちゃんを誘い出すって感じでしょうか。(どんなだ)
そのヒッキーなお兄ちゃんはそれが面倒くさくて、仕方なく重い腰を上げて村の役場に赴き、レニーのために人をかき集めてお祭りをしてくれるという寸法です。
じゃあレニーにおもちゃでも与えておとなしくさせとけばいいんじゃねー?と思いますよねー?
ごくごく最近になって登場したのがそのお薬なのですが、まだどの程度使われているのかわかりません。
情報求ム。
今最も使われているのはヒッキーなお兄ちゃんことアンギオテンシンを活発にさせないためのお薬と、
アンギオテンシンがその力を発揮するための受容体を使えなくするためのお薬。
比喩を使うなら、ヒッキーなお兄ちゃんの重い腰をさらに重くして動かさないようにする薬と、
村役場をお休みにしちゃう薬でしょうか。
お兄ちゃんの腰を重くする薬を医療関係者の皆様はACE阻害薬、
また村役場に休日を設けてしまうお薬をARBと呼んでいます。
じゃあこの二つの薬、どっちがいいのん?ってことですが、
んー。
オーソドックスな副作用は持ち合わせている物の、両方とも他の降圧薬に比べれば圧倒的に副作用は少ないです。しかもある程度の持病があってもこれ処方しときゃなんとかなるという優れもの。妊婦さんや肝障害を持ってる人には使えませんけどね。
違いと言えば
ACE阻害薬は副作用として空咳を起こしてしまうこと。咳が出ちゃうんですねー。
一方ARBは空咳は起こさないけどちっとばかし値段が高い。その程度ですね。
ACE阻害薬の方はARBに比べていろんな場所に影響が出てしまうので、医療関係者側から見ればARBの方が使い勝手がいいのかもしれません。
私のパピーは血圧が180mmHgを超えてた上、無呼吸症候群を併発しやがったので病院へ行ったところ、ブロプレス®というお薬を処方されました。糖尿病予備軍な上ちょっとおなか周りもやばいので、安全でコントロールしやすいお薬を……という医師の考えが伺えます。
ブロプレスはARBで、薬学生的にはとっても有名なお薬。
高血圧症で薬を処方されている方にもなじみ深いお薬かもしれませんね。
眠くなってきたので今日はここまで。
明日は気力があれば尿つながりで利尿薬なんぞ紹介したい思います。
把握!!
それではいよいよ高血圧薬のご紹介ー。
いろいろ種類はあるけど、前項で書いた体液量つながりの薬を順次紹介。
まず理解しておきたいのは、
私たちの体は水を排出するよりも貯め込んでおくための機能がたくさんあると言うこと。
そのために体の中ではたくさんの物質が主に尿を作り出す腎臓に作用して、体の水分量を調節している。
そのおかげで、人はちょっとの水を飲むだけで、干涸らびることなく生きられるらしい。
腎臓の機能を簡単に紹介しておくと、
まず体を巡る血管の一部が腎臓を経由
↓
血管を流れる不純物や栄養素なんかを含んだ水だけがそこで濾過される
↓
不純物はそのまま排泄。必要な栄養素はここで再び体の中に回収される。
↓
栄養素と一緒に一度濾過されたほとんどの水ももう一度体に取り込まれる。
というわけで、最初に濾過された尿(原尿)のうち実に99%の水分が、いらない物だけを捨てた状態でもう一度体の中に戻ってくるとかなんとか。
そこで、腎臓がどれだけ働いてんのかなーと計算してみると、
大人の人が一日に1.5リットルの尿を排泄しているとすると、その前に腎臓は180リットルもの原尿を作りだし、178.5リットルの水や栄養物を再び体の中に戻しているということになる。
うん。こりゃあ腎不全になったら透析するしかないわな。これだけの仕事ができる、これだけ小さな臓器を作るのは現代の科学じゃまだ難しいだろう。
で、この水分の取り込みに関与している物質というのが、さっき出てきた「レニン」というもの。
そして他にも水の再吸収に関与している物は「バソプレシン」と「アルドステロン」などと言う物がある。
名前憶えるのがめんどくさいので、
レニン→レニー坊
バソプレシン→馬孫
アルドステロン→アル中
などと勝手に名付けることにして進行。
つまりこいつらの働きを止めてやれば、
水を再び取り込まれることが無くなる=尿の量が増える=体液量が減るってことらしい。
でも馬孫や アル中は名前のインパクトからしてなんか手に負えなさそう。
こいつらは体の働きに大きく関わってくるホルモンとかいうちょっとおいしそうな名前の物質なので、その状態を崩すにはとても大きなリスクが伴ってきます。
特に馬孫さんは無理。所在地は脳という超根幹だし、水の再吸収のほとんどを担っていらっしゃるので、当然止まり方も豪快です。おそらく作られた尿のほとんどが再吸収されることなくダバダバ垂れ流されてしまうことでしょう。
なのでこの中で一番簡単で安全で確実なのはレニー坊を沈黙させること。
レニーはいわゆる司令塔。腎臓を流れる血液の量が少なくなったり、血圧が下がったりすると体に現れ、
アンギオテンシンという血圧を上げる物質を作ってくれちゃいます。
腎臓村に住むレニーは多感なお年頃で、周りが静かになるとそわそわして家から出て、隣に住んでるヒッキーのお兄ちゃんを誘い出すって感じでしょうか。(どんなだ)
そのヒッキーなお兄ちゃんはそれが面倒くさくて、仕方なく重い腰を上げて村の役場に赴き、レニーのために人をかき集めてお祭りをしてくれるという寸法です。
じゃあレニーにおもちゃでも与えておとなしくさせとけばいいんじゃねー?と思いますよねー?
ごくごく最近になって登場したのがそのお薬なのですが、まだどの程度使われているのかわかりません。
情報求ム。
今最も使われているのはヒッキーなお兄ちゃんことアンギオテンシンを活発にさせないためのお薬と、
アンギオテンシンがその力を発揮するための受容体を使えなくするためのお薬。
比喩を使うなら、ヒッキーなお兄ちゃんの重い腰をさらに重くして動かさないようにする薬と、
村役場をお休みにしちゃう薬でしょうか。
お兄ちゃんの腰を重くする薬を医療関係者の皆様はACE阻害薬、
また村役場に休日を設けてしまうお薬をARBと呼んでいます。
じゃあこの二つの薬、どっちがいいのん?ってことですが、
んー。
オーソドックスな副作用は持ち合わせている物の、両方とも他の降圧薬に比べれば圧倒的に副作用は少ないです。しかもある程度の持病があってもこれ処方しときゃなんとかなるという優れもの。妊婦さんや肝障害を持ってる人には使えませんけどね。
違いと言えば
ACE阻害薬は副作用として空咳を起こしてしまうこと。咳が出ちゃうんですねー。
一方ARBは空咳は起こさないけどちっとばかし値段が高い。その程度ですね。
ACE阻害薬の方はARBに比べていろんな場所に影響が出てしまうので、医療関係者側から見ればARBの方が使い勝手がいいのかもしれません。
私のパピーは血圧が180mmHgを超えてた上、無呼吸症候群を併発しやがったので病院へ行ったところ、ブロプレス®というお薬を処方されました。糖尿病予備軍な上ちょっとおなか周りもやばいので、安全でコントロールしやすいお薬を……という医師の考えが伺えます。
ブロプレスはARBで、薬学生的にはとっても有名なお薬。
高血圧症で薬を処方されている方にもなじみ深いお薬かもしれませんね。
眠くなってきたので今日はここまで。
明日は気力があれば尿つながりで利尿薬なんぞ紹介したい思います。
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プロフィール
HN:
鶫
性別:
非公開
職業:
大学院生&ペーパー薬剤師
趣味:
最近はもっぱらゲーム
自己紹介:
薬学部に通うただのダメ人間。
分厚い小説は一日で読み切るくせに分厚い教科書は一年たっても読めない。
三度の飯より寝ることと遊ぶことが好き。
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